ノラ猫の老後

トラブル、世の中には、よくあることではある。

たとえば、こんな感じのトラブルはよくありそうではないか？

先を争うなどしていて肩がぶつかるなどといった些細なきっかけから、大喧嘩でなくとも口論になって、声を荒げた言い争いになる。

その表情には人間の醜い部分がむき出しになっている。
「もう、えいわ！」と捨てゼリフで立ち去る男

残った方は、連れらしき仲間に興奮を鎮めるように話しかける。
「ホンマに！」（何が「ホンマ」なのかは不明）
「負けられへんからなっ！」

　何が、負けで、何が勝ちなのかはわからないが、所詮は、抑えられない衝動に駆られた感情的な行為である。

　先に去った男の方が、これ以上の無益で恥ずかしいやり取りを避けた大人に思えるが、敗走したという解釈か？

　そして激高して、声の大きく言い負かした方が勝ちなら、勝ったと言う男には、その「勝ち」によって何が残るというのか、負けなかったという自分の心の安定か？　相手の態度が気に入らず、許せないという己の狭隘な心を安定させること、それが「勝ち」だと？

　周囲にいる者も醜汚な、その場面を見聞きして気分も悪くなる。「勝ち」か「負け」かというと「負け」であろう。

　いったいどこにどれほどの「価値」をもたらすのか？

　相手のあることなので、いろいろと事情にもよるのだろうが、「勝ち」には、なにか、そこからもたらされる「価値」がないと、それは本当の意味で「勝ち」といえるのだろうか？　
　弱いものに喧嘩で勝つ（いじめなども同じ）と言う場合。その勝ちに含まれる「価値」はいったいどれほどのものなのか。

　つまらぬ争いが減ることによって「価値」が増えるシステムができれば、世の中の矛盾が少しは減るのではないか。