ノラ猫の老後

2010.05.23 Sunday

ポチはお山に行ったんだ

　子供の頃のことですが、飼っていたポチが死にました（名前の安易さはおいといて）。父は私にその事を隠して、「ポチは山に向かって行った」と説明。小学生の私はその話を微塵も疑わず、ああポチはリードに繋がれての不自由な散歩や生活が嫌で、野山を自由に駆け回りたかったんだなと考えた。時々、夕食前に自分の腹が減るとポチのことを思い出してポチも空腹でないかと心配するくらいで、寂しさはあるものの悲しみは大きくはなかった。
何年か後に中学生になった私は、何かの折に「山に行ったポチは元気にしているかな。」と父に話した。父は、最初は何の話かわからないといった顔をしたが、すぐに思い出して「信じていたのか。」と私の話に問いで答えた。私が事実を理解するのと同時に、父は「悲しむとおもったからな。」と一言。
冷静に考えると不自然な所もあったなと思いつつ、我が親もドラマや小説のように子供のために嘘をつくのだなと感心したのを覚えている。それでも、犬が好きであったし、その後も犬も猫も飼うのだが、愛玩用に動物を飼うという際にはそのペットの死を考えてしまう。
　飼っていた金魚が、２ヶ月程で死んだことがある。もっと本来の寿命は長かったんではないか、私以外の人が飼えばもっと生きたのではないかと考えながら土に埋めた。犬も猫も大好きだが、ペットより先に自分が死んだり、面倒を見ることが出来ない身体になってしまう可能性もある。年を取った父母が言っていた。犬や猫をずっと飼っていたが、幸せに出来ない可能性があると考えると、そうもいかないと。
　私は今日は、ウミウが泳ぐのを眺めたり、何かを考えていそうなカラスをみたていた。この宇宙に生命があるのは地球だけかもしれないそうだ。奇跡の命、命は奇跡か。自分も自分以外の命もすばらしい。

猫丸 | ひとりごと | comments(9) | trackbacks(0)

Comments

ペットの死を考えてしまうと、次のペットを飼えないという心理って、広くあるみたいですね…。自動車評論家の徳大寺さん、漫画家の赤塚不二夫さんあたりは愛猫と死別した後、猫好きだったようですが一切、飼わなくなったのだとか。

他方、精神科医の香山リカさんは小樽に実家があり、そこで産婦人科をしている実父の話として愛犬を失ったのち「こんな事を言ったら不謹慎だけど、おふくろを失ったとき以上に悲しい…」とまで落ち込み、無気力になって為に兄弟と相談の上、新たに犬を実家で飼うように仕向けたという話をしていました。

確かに喪失感というのは大きいですから、子供に話す場合は「お山へ行った」のような方便もアリでしょうし、そのように方便を使う家族の在り方というのも、何か人間的ではないでしょうか。

メロンぱんち | 2010/05/23 2:36 PM

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　ポチの死を知った時、私は反抗期のため父と距離をとって殆ど家に居ませんでしたが、嘘をつかれた怒りと、親の気持ちとを冷静に判断していました。何かにつけて反抗していたのに、黙って聞いていました。
　もしも老後に年金暮らしが許されるなら、できれば猫を飼いたいと思いますが、団地暮らしからの脱出は難しいかもしれません。

猫丸 | 2010/05/24 12:10 AM